科研費(文科省・学振)獲得実績 - 雨宮 隆
件数 13 件-
脳細胞ネットワークにおける乳酸代謝動学-脳の高次機能や神経疾患の解明を目指して-
2020年7月 - 2023年3月
科学研究費補助金 挑戦的研究 (開拓)
代表者:雨宮隆
資金種別:競争的資金
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がん細胞とアストロサイトにおける解糖系振動および同期現象の解明と応用
2019年4月 - 2022年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
代表者:雨宮 隆
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
細胞のエネルギー代謝に着目すると,がん細胞とアストロサイトは特殊な類似性をもっている。すなわち,がん細胞とアストロサイトは通常の細胞とは違い,好気的環境でも嫌気呼吸である解糖系を亢進させる。このような代謝特性から,両細胞が解糖系振動を起こすと期待される。本研究では,HeLa細胞以外のがん細胞に加え,アストロサイトの解糖系振動をはじめて観測することを目指している。がん細胞とアストロサイトの解糖系振動と同期現象を対比させて研究することにより,生物学的な特徴や機能が解糖系という根源的な代謝系から議論できるものと期待される。本研究は,がんの早期発見や脳の機能障害の診断などの医学的な応用も期待される。
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生物はなぜ振動・同期するのか-酵母細胞における解糖系振動現象の生命機能の解明-
2014年4月 - 2017年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:雨宮 隆
資金種別:競争的資金
本研究では生物の振動・同期の生命機能を解明することを目的とした。従来,酵母細胞はある一定以上の細胞密度を越えなけば解糖系振動を行さないと考えられていたが,酵母細胞は孤立していても1細胞レベルで解糖系振動反応を起こすことを実験的に確認した。解糖系の数理モデル解析により,振動的解糖反応は定常的解糖反応よりもエネルギーの獲得効率が7~8%程度高いことが示された。また,酵母細胞をアルギン酸マイクロカプセルに封入し細胞密度を高めると細胞集団は解糖系振動反応を完全に同期させることを実験的に明らかにした。酵母と代謝類似性をもつがん(HeLa)細胞の解糖系振動反応を1細胞レベルで初めて観察した。
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湖沼生態系の空間情報と多重安定性理論を応用した社会生態モデリング研究
2008年4月 - 2011年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:雨宮 隆
資金種別:競争的資金
本研究では,はじめに生態系の多重安定理論を応用し,生物間相互作用を利用することで富栄養化湖沼生態系を回復できることを数理生態モデルから明らかにした.次に,相模湖および津久井湖を対象とし,1960年代から2007年までの約40年間の水質・土地利用等のデータをGISを用いて総括的に解析することで,両湖におけるアオコの発生の原因や特徴を時空間的な視点から解明した.その結果,両湖における富栄養化の要因である窒素については大気由来の窒素であることが強く示唆された.集水域の社会・経済的な状況,環境要件等で富栄養化が避けられない湖沼においても,生物間相互作用を利用すれば環境修復が可能であることが示された.
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富栄養化湖沼生態系の多重安定性と物質循環機構に基づく保全生態学研究
2005年4月 - 2007年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:雨宮隆
資金種別:競争的資金
富栄養化湖沼生態系の生態学的安定性と物質循環機構を解明し湖沼環境の修復手法を提言することを目的とした.アオコの原因藻類の一種である藍藻類.Microeystis aeruginosa,これを捕食する鞭毛虫類Monas guttula,細菌類Pseudomonas putida等から構成される連続培養系のマイクロコズムを構成し,栄養塩(窒素・リン)濃度を環境パラメータとしたモデル湖沼生態系の個体群動態と多重安定性について評価・解析を行った.栄養塩濃度とpHを制御した実験から,M.guttulaの藻類に対する捕食効果には一種のトレード・オフ関係が存在することがわかった.即ち,M.guttulaの増殖速度は藻類の成長に有利な高栄養状態であるほど高くなるが,高栄養状態ではM.aeruginosaの光合成活性が高くなるために溶液のpHがアルカリ側にシフトすることで,M.guttulaの増殖速度が低下した.また,中程度の栄養塩濃度では,M.guttulaの初期投入個体数に応じて,M.aeruginosaが絶滅する場合と生き残る場合の実験結果が得られ,数理モデルで得られていた多重安定性の可能性が示唆された.また,栄養塩濃度とM.aeruginosaの細胞内生体分子組成の関係を調べると,栄養塩濃度が高い場合は対数増殖期に,細胞内のグリコーゲンと脂質が増加することが分かった.即ち,富栄養化した状態では,水中の栄養塩が藻類によって効率よく吸収され,成長に大きく寄与することが示唆された.
さらに,温暖化等の影響で湖沼の水温が高くなることを想定した新しい数理モデルを構成した.藍藻類の成長率が水温に比例すると考えると,夏期の水温に臨界点があり,その水温を越える年は藍藻類が大増殖し,超えない年は抑制されるという多重安定性の特徴が示された.この結果は,相模湖・津久井湖における水温制御(エアレーション)の効果を示す過去20年以上の観測データを良く説明できた.また,植栽が藍藻類の制御に有効であることや,湖沼生態系の管理には,不確実性を考慮した順応的管理(フィードバック制御)が重要であることを指摘した. -
非線形性に基づく人工物システムの強化 研究課題
2017年7月 - 2020年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:中田 聡
資金種別:競争的資金
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糖尿病コントロールのための膵臓の階層数理モデル構築とそのシミュレーション
2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:真原 仁
資金種別:競争的資金
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分相性ポーラスガラスを用いた放射性セシウム除染システム
2013年4月 - 2015年3月
科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
代表者:伊藤 公紀
資金種別:競争的資金
放射性汚染物質の処理を念頭に置き、分相ポーラスガラスによるアルカリ金属およびアルカリ土類金属に対するイオン吸着特性と濾過特性を評価した。CsイオンやSrイオンに対する吸着率は高く、ゼオライトに匹敵した。濾過性能はゼオライトと比較して極めて高かった。焼結による固定化の温度は900℃程度で十分であり、1200℃程度が必要なゼオライトと比較して有利である。放射性セシウム等に対して、効果的な吸着システムが構築できる可能性が示された。
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土壌細菌DNAの総観的分子分類解析による環境診断法の展開
2006年4月 - 2009年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
代表者:伊藤 公紀
資金種別:競争的資金
環境中で重要な機能を担うにも関わらず、その詳細が不明な土壌細菌群集に関して、実験的・理論的な解析を行った。実験的には、DNA を高い分離能の検出できる二次元電気泳動法と、異なるDNA の集合を全体的に見るための総観的分子分類学に基づいて、新しい評価法を開発した。二次元電気泳動では、それぞれの細菌種を、1 つ1 つのスポットとして得ることができるため、全体の見通しが良い。理論的には、多様性が出現する機構を、「食う・食われる」の関係を表す食物網から検討すると共に、生態系中の非線形な相互作用による動態の解析を行い、典型的な湖汚染であるアオコ(シアノバクテリアの集団)の季節変動や日内変動などの挙動を明らかにした。
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生態系管理の順応的制御ルールに関する群集・空間生態学的研究
2005年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 基盤研究(B)
代表者:松田 裕之
資金種別:競争的資金
単一種の管理を超えた、生態系管理の理論と手法の確立の為、生態系の将来予測を行う様々なモデルを開発した。白川博士は、空間分布個体数データを用いたスナメリの絶滅危惧種の個体群推定種法を開発した。牧野博士は、知床世界自然遺産地域の沿岸漁業管理の生態系アプローチの必要性と有効性、及び日本の漁業領域の特性を研究した。雨宮博士は、富栄養湖の復元理論を国際的な科学者のネットワークと共同で進展させた。小池博士は、GISを使った外来生物の空間分布の予測手法を開発した。松田博士は、従来までの最大持続可能漁業量理論を発展させた"最大持続可能生態系サービス"の概念を打ち出した。
我々は、順応的管理は生態系管理にとって全能の神ではないと認識しているが、生態系メカニズムとシステムを解明し、それぞれの生態系ごとに適した管理計画を作る必要性があると確信している。いくつかの新しい概念、すなわち、"海域保全地域"、"回廊"、"共同管理"及び"生態系サービスの社会経済的評価"の有効性について検証した。 -
太陽磁気活動の地球気候への影響評価:北極振動を糸口にして
2005年4月 - 2007年3月
科学研究費補助金 萌芽研究
代表者:伊藤 公紀
資金種別:競争的資金
北極振動指数と、太陽磁気活動の指標aa指数との間には、顕著な関係が見られるが、その関係は複雑である。北極振動自体の機構も明確ではないので、本年度は関連する情報の収集を図り、研究の将来的見通しを得ることを試みた。また、北極振動の気候影響が大きいことを考慮して、気候変化が生態系に与える影響評価のため、生態系の回復性等の基礎的検討も併せて行った。
1.過去気候変動が太陽磁気活動変化で解釈できる新規可能性。周辺集落の盛衰を決定付けたアフリカ東部のナイバシャ湖の水深の変動は、宇宙線由来の^<14>C量変化と良く対応し、太陽光度の変化で議論されてきたが、太陽光度変動が小さい可能性は高く、降水量の大きな変化は説明できそうもない。しかし以下のように、北極振動を介する機構は可能と思われる。気温変化と北極振動指数の相関の空間的分布は、北極を中心とした四重極子型を示し、シベリア等で強い正の相関、グリーンランド等で強い負の相関を示す。降水量との相関は複雑であるが、地中海沿岸やアフリカ中央部などで強い正の相関がある。従って、太陽磁気の変動が、北極振動(あるいは南極振動)を介して降水量に大きな影響を与えた可能性がある。
2.海洋蓄積熱の新規解釈。海洋蓄積熱の測定結果を検討し、10年規模の変動が北極振動と火山の影響(エアロゾル)とで解釈できることを見出した。北極振動が強いとき、海洋蓄積熱は増加している。海洋蓄積熱はグローバルな放射強制力の指標であり、主として熱の再配分に与る北極振動との相関は一見奇妙である。この結果から次のような可能性が示唆された:1)陸部に配分された熱が、無視できない程度に大きい:2)雲量の変化等を介して、北極振動が放射強制力に直接関わっている。
3.複雑系の双安定に基づく回復性の検討 気候システムや生態系を複雑系として捉える過程で、その双安定性を基礎として、システム回復性評価の理論的検討を行った。 -
反応拡散系理論と流体理論の融合により展開される新しい非線形問題の調査
2003年4月 - 2004年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:坂上 貴之
資金種別:競争的資金
研究計画の基づき本研究課題に関する調査を行った。まず、京都大学にて企画会議を行い,調査方針の確定・調査対象の選別・調査派遣研究者の決定を行った。この決定に基づき8月に札幌にて調査会議を開催,反応拡散系・皮膚科学・ポストゲノムの研究者を招いて講演をしていただいた。この三件について分担者らは評価および検討を加え,調査の具体的な評価基準を決定した。
札幌での会議の成果を受け,9月は数理側の分担者と実験側の分担者がペアとなって国内外で開催された関連する研究集会へ参加・調査を行った。海外の研究集会としてはハンガリー・ブダペストで開催されたCMFF03,アメリカ合衆国ニューヨークで開かれたアメリカ化学会年会,スペインパルマ・デ・マヨルカで開催されたDynamics Days 2003,一方国内の研究集会としては新潟で開催された日本生物物理学会,日本物理学会に参加した。この調査の結果を10月にお茶の水大学にて分担者全員で詳細に検討した。最後に12月に京都大学で開催された「非線形反応と協同現象の数理」に参加し、国内における当該課題の研究についてさらに調査した。
調査の結果,反応拡散系理論と流体理論が融合するという視点で、いくつか今後に繋がるものがあった。具体的には以下の二点である。
(1)非均一場における化学反応理論:従来の化学反応速度理論は場の均一性を仮定して展開されているが、実際には複雑で非均一な流れ場で反応が起きている。今後はこの流れの非均一性を考慮した新しい反応現象という視点で実験および数理的研究がすすむ可能性がある。
(2)反応が流れにおよぼす影響:化学反応が起こることによって発熱・密度変化・表面張力変化などの物性変化と流れの相互作用から現象を探ることが可能。
これらの成果は調査ノートとしてとりまとめ、来年度に関係者に配布。さらなる議論をすすめる予定である。 -
化学反応波が励起するラセン状対流波の階層的自己組織化構造の解明
2001年4月 - 2003年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:三池 秀敏
資金種別:競争的資金
本研究では、Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応溶液中に化学反応波を励起し、その中で自己組織的に形成される対流波の発生メカニズムの解明を目指した。バッチリアクター内に励起したラセン状化学反応波は、反応容器中で30-40分ラセン状化学反応を伝播し続ける。この過程で、ラセンパターンが反応容器全体に広がった後に振動的対流減少が観測される。これに伴い、化学反応波の波長(約1mm)に比べてかなり波長の長い、対流の動的な秩序構造が発生する。これは対流波(flow wave)と呼ばれ、波長は数cmに及ぶ。従来の知見では、対流波は反応容器の周辺で発生し、ラセン状化学反応波の中心に向って伝播する事が知られていた。本研究で実験的に明らかとなったことは、 1)ラセン波の中心で発生し、容器周辺に向って伝播する対流波(円形状、ラセン状)が存在する(平成12年度)、 2)種々の対流波のパターンの出現が、一種の分岐現象で理解できる事を示し、マロン酸とブロムマロン酸を制御変数とする相図を提案した(平成13年度)、 3)ラセン状対流波は、同期して回転する界面変形を伴う(平成14年度)、 4)界面変形と同期して、界面の対流方向が時間と伴に回転する(平成14年度)、 などである。また、反応拡散と対流現象を結合したモデルによる数値計算では、従来考慮されていたフェリイン以外に、表面張力に影響を与える物質としてブロムマロン酸濃度を含む3変数の反応拡散モデルを提案し、化学反応波のウエーブトレイン(波長約1mm)が長波長の対流ロール(波長数cm)を発生する可能性を証明した。数値解析では振動流の発生まではシミュレート出来なかったが、長波長の対流ロールの伝播と対流方向の変化までは再現出来ている。今後、界面変形を積極的に取り入れた数値解析や、対流波への重力の影響などを検討する必要がある。