論文 - 金光 真理子
件数 15 件-
タランテッラの音楽と舞踊の身体性――ザンポーニャ奏者と踊り手の身体技法からみたタランテッラのリズムをめぐって――
金光真理子
音楽学 67 ( 1 ) 17 - 33 2021年10月 [査読有り]
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:日本音楽学会 単著
本稿はイタリアの民俗舞踊「タランテッラ」、とくにルカーニア地方の「パストラーレ」の音楽と舞踊に共通する身体性について論じた。パストラーレを演奏するザンポーニャ奏者とパストラーレを踊る踊り手の身体技法および感覚をそれぞれ分析した結果、これまでタランテッラの3分割リズムと2分割リズムの関係は「曖昧なリズム」と論じられてきたが、むしろ「交換可能で流動的なリズム」と新たに解釈できること、ザンポーニャ奏者と踊り手の身体感覚が一致することによって、タランテッラのリズムが音楽と舞踊に分かち持たれていることを明らかにした。
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金光真理子
横浜国立大学教育学部紀要. I, 教育科学 7 33 - 52 2024年3月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要) 単著
音楽科の学びを身体知の学びとして捉え直す理論的枠組みを整えるため、関連する人文諸科学の先行研究を参照しながら、教科の対象である「音楽の身体性」、学校教育の一教科としての「学びの身体性」、そしてその哲学的・理論的基盤となる「知の身体性」を整理し、身体知の先行研究を考察した。結論として、私たちが前提としている「 科学的」思考を西洋近代パラダイムとして相対化することによって、音楽科の「 音楽」と「学び」の概念も解釈が変わり、新たな可能性が開かれること、この「知の身体性」のパラダイムに従って音楽科の学びを身体知の学びとして捉えるならば、3つの資質・能力を両義的・包括的に理解し指導しなければならないことを指摘した。
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「身体知」としての音楽の学びの可能性
伊藤 裕来, 森野 かおり, 金光 真理子
音楽教育学 53 ( 2 ) 94 - 95 2024年
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 出版者・発行元:日本音楽教育学会 共著
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コロナ禍のオンライン化が照らし出す実技レッスンの身体性と可能性
金光真理子
横浜国立大学教育学部紀要 I、教育科学 6 34 - 53 2023年2月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要) 単著
2020年度のコロナ禍における音楽や舞踊の実技レッスンのオンライン化について、大学や民間の教室で教える指導者へインタビュー調査を行った。分析の結果、オンライン化の課題として、①多感覚的な身体の欠如、②とくに指導者と学習者の間身体性の欠如があること、他方、オンライン化によって開かれる新たな学びの可能性として、①代替楽器、②実践と理論の組みあわせ、③オンライン・レッスン、④学習者の視点の意識化、⑤オンデマンド動画による学びの体系化と共有があることを指摘した。 -
ワールド・ミュージック・アンサンブルにみる諸外国の音楽の学習の指導法と意義
金光真理子
横浜国立大学教育学部紀要 I、教育科学 5 34 - 52 2022年2月
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要) 単著
アメリカの大学におけるワールド・ミュージック・アンサンブルの歴史と実践に関する論考の考察を通して、異文化の音楽を指導する方法と意義を整理した。日本の学校教育への示唆として、口頭伝承と身体的な学びの重視を初めとする指導のポイント、パフォーマンスを通じた生きた学びの意義を論じた。
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イタリアの歌(カント)の世界ーーカンツォーネだけじゃない!? イタリア民謡の多様性ーー
金光真理子
日伊総合研究所報 15 28 - 31 2019年3月 [招待有り]
担当区分:筆頭著者 記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要) 出版者・発行元:星美学園短期大学 単著
イタリアの民謡の地方様式について論じた。大きく北部・南部・島嶼部の3つに分けて、北部の平行三度唱、南部の独唱の発声・旋法・無拍のリズム、そしてシチリア島とサルデーニャ島の独自のジャンルの特徴を論じた。
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音楽科における「身体表現」の再考 : 「音楽」と「身体表現」の関係性
金光 真理子
横浜国立大学教育学部紀要 I、教育科学 1 1 - 22 2018年2月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要) 出版者・発行元:横浜国立大学教育学部 単著
音楽科の「身体表現」の位置づけと「音楽」概念を再検討するため、学習指導要領・解説と『教育音楽』(音楽之友社)の記事を分析した。身体表現の成果と課題を整理した上で、民族音楽学の「参与型の音楽」(T.トゥリノ)という分析概念を参照しながら、音楽の授業における身体表現によって、子どもが学校という「場」へ参与している度合いを測ることができる可能性を論じた。
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金光 真理子
横浜国立大学教育人間科学部紀要 I、教育科学 18 1 - 19 2016年2月
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要) 出版者・発行元:横浜国立大学教育人間科学部 単著
アメリカの音楽教育学者キャンベルによる世界音楽教授法について、ワークショップの考察を通して、そのリスニング中心の授業構成と指導方法を明らかにし、段階的・発展的学習という利点がある一方、楽譜とソルミゼーションの課題があることを論じた。
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金光真理子
横浜国立大学教育人間科学部紀要Ⅱ、人文科学 14 22 - 35 2012年2月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要) 出版者・発行元:横浜国立大学教育人間科学部 単著
イタリア南部の民俗舞踊タランテッラについて、ポッリーノ地方のパストラーレを例に、その音楽と舞踊の構造および身体表現の意味を、先行研究とフィールドワークに基づき論じた。
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「伝統」の多義性――イタリア・サルデーニャ島の音楽文化を例に――
金光真理子
横浜国立大学教育人間科学部紀要Ⅱ、人文科学 12 13 - 22 2010年2月
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(大学,研究機関紀要) 出版者・発行元:横浜国立大学 単著
民俗芸能研究において重要な「伝統」概念の再考と、より実践的なアプローチの提唱に向けて、サルデーニャ島の事例を基に、複数のエイジェント(行為主体)の観点とそこから生じる多様なコノテーションの実態を論じた。
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サルデーニャ舞踊における音楽と舞踊の相関関係
金光真理子
舞踊学 31 10 - 21 2008年12月 [査読有り]
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 単著
本稿はイタリアのサルデーニャ島のラウネッダス舞踊を対象とし、舞踊の観点から、音楽の構造を考察した。パフォーマンスにおける音楽と舞踊それぞれの採譜の比較分析を行った結果、ラウネッダス奏者の「イスカラ」という美的価値感と「音楽に従って踊る」という舞踊のステップのあいだには相互に参照しあう相関関係があることが明らかになり、民俗舞踊の研究において音楽と舞踊を相関的に理解するアプローチの有効性を提示した。
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ラウネッダスの舞踊曲の「理論」と「実践」――ラウネッダス奏者の言説の考察を通して――
金光真理子
地中海学研究 30 51 - 70 2008年5月 [査読有り]
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 単著
本稿はサルデーニャ島のラウネッダスの舞踊曲の構造を、演奏者の言説分析を通して考察した。ラウネッダス奏者は言語表現との比喩によって舞踊曲を「理論」化しており、舞踊曲とサルデーニャの即興詩には共通するシンメトリー構造が認められること、さらにこの構造は地中海地域の口頭伝承の叙事詩にも認められることから、芸能の地中海的原理ともいえる可能性を指摘した。
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ラウネッダスの舞踊曲のイスカラあるいは一連の旋律型の分析
金光真理子
音楽学 52 ( 2 ) 89 - 108 2007年3月 [査読有り]
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 単著
本稿はサルデーニャ島のラウネッダスの舞踊曲のレパートリーとして口頭で伝承されている「イスカラ」について、ラウネッダス奏者アウレリオ・ポルクによるイスカラの教習過程の分析を通して、イスカラが然るべきフレーズの素材・構成と展開のパターンを規定する旋律型によって構成されていることを論じた。
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Transmission of "Open Knowledge": Case Study of Sardinian Launeddas Dance Music
金光真理子
Proceedings of International Symposium on Skill Science 2007 2007年
記述言語:英語 掲載種別:研究論文(その他学術会議資料等) 単著
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ラウネッダスの舞踊曲の音楽構造――イスカラの概念をめぐって――
金光真理子
東洋音楽研究 69 19 - 34 2005年8月 [査読有り]
記述言語:日本語 掲載種別:研究論文(学術雑誌) 単著
本稿はサルデーニャ島のラウネッダスの舞踊曲の音楽構造を説明する「イスカラ」という概念について、イスカラを実体的に捉える「主題」という先行研究の解釈を批判的に検討し、「母型」という新たな解釈によって、イスカラを具体レベルではなく観念レベルに措定する意義を論じた。