科研費(文科省・学振)獲得実績 - 永井 圭二
件数 9 件-
非エルゴード的時系列に関する情報量に基づく統計的逐次解析
研究課題/領域番号: 24K04816 2024年4月 - 2026年5月
横浜国立大学 基盤研究(C)
代表者:永井 圭二
担当区分:研究代表者 資金種別:競争的資金
本研究では非エルゴード的時系列の統計的推測を統計的逐次解析によって行う。サンプリングルールは,観測されるKullback-Leibler情報量やFisher情報量に基づくランダムな停止時刻による。政策・社会情勢・外生要因などの変化が生じた後,オンラインデータを用いてできるだけ早くモデルを同定し推測をする必要がある。特に非エルゴード的モデルにおいて,①局所パラメータの導入がもたらす逐次検定の不変性および逐次推定の共変性の問題を解決し,②Kullback-Leibler情報量を用いる逐次確率比検定および情報量基準による逐次的モデル選択,③Fisher情報量を用いる逐次固定精度推定の手法を確立する。
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情報量に基づく停止時刻を用いたゴルトン=ワトソン分枝過程の統計的逐次解析
2021年4月 - 2024年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:永井 圭二
資金種別:競争的資金
本研究の中心的課題は,オンライン観測されるゴルトン=ワトソン分枝過程の基本再生産数Rに関する臨界性検定(Rが1を超えているか,超えていないかの検定),モデルの特定化,推定,変化点探索に対して統計的逐次解析の手法を確立する点にある.まず,移民項のないもっとも簡単な分枝過程を出発点として,移民項のある分枝過程,p階の分枝過程,多次元分枝過程などに拡張してゆく.ここでは,基本再生産数の臨界性検定,次数pの同定,パラメータの推定,変化点の探索といった問題を Fisher 情報量や Kullback-Leibler 情報量を用いた停止時を用いて統計的逐次解析を展開する.
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情報量を用いた停止時による非定常時系列の統計的逐次解析
2018年4月 - 2021年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:永井 圭二
資金種別:競争的資金
情報量を用いた停止時による非定常時系列の統計的逐次解析を考える。特に爆発的な場合について研究する。
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確率解析の手法を用いた統計的逐次解析の理論とその応用
2015年4月 - 2018年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:永井圭二
資金種別:競争的資金
局所対立仮説に関する逐次単位根検定の理論をAR(p)モデル適用し,局所対立仮説の統計的逐次検定の理論を構築した.そこでは,帰無仮説(単位根)と局所対立仮説の検定は標準正規分布N(0,1)とN(μ,1)の検定になることを示された. このことにより,逐次的単位根検定はADF検定と異なり,局所一様最強力検定となることがわかる.さらに,帰無仮説と局所対立仮説における 停止時刻の漸近分布 (Bessel過程で表現される) が求められた.
また,定常なAR(p)モデルについての統計的逐次推定に関し停止時刻の漸近正規性を導いた.これにより時系列の統計的逐次解析が実用可能になったと言ってよい. -
非定常性に関する統計的逐次検定と変化点探索について
2012年4月 - 2015年4月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:永井圭二
資金種別:競争的資金
この研究においては、オンラインで観測される確率系列を想定し、金融時系列のバブルなどの非定常性の存在を探索する逐次検定の方法と、金融時系列におけるパラメータの変化を探索する逐次変化点問題の方法を確立した。また、疫学や人口統計で重要な分枝過程に関して、ウイルスや人口の爆発的な増加が起きるのか、それとも根絶や人口減少が起きるのかの逐次的に探索する手法を考察した。それぞれに対して、数学的な最適性の性質と数値計算の方法を見出した。
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確率過程の統計的逐次解析とリスク管理への応用
2009年4月 - 2011年4月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:永井 圭二
資金種別:競争的資金
本研究の出発点はLai and Siegmund(1983)の自己回帰係数に対する逐次推定の方法を単位根検定の問題に拡張することであった。本研究では確率過程の停止時刻による統計的推測の理論について考察し、応用としてオンラインリスク管理への適用を考える。研究のテーマは以下の4点である。
1.経済時系列の定常性のモニタリング問題
2.分岐過程の臨界性のモニタリング問題
3.一般の離散時間マルコフ過程のパラメータのモニタリング問題
4.ベンチャー企業の倒産、合併、上場のオンラインモニタリング問題 -
確率場で表される計量経済モデルの停止時を用いた推測
2007年4月 - 2008年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:永井 圭二
資金種別:競争的資金
本研究では停止時刻を用いた統計的推測の理論についての研究を行い、応用としてオンラインモニタリングへの適用を考えた。特に、(1)経済時系列が定常的であるか爆発的であるかのモニタリング、(2)金融資産価格のリスク管理に用いることができる変動性のオンライン推定方法、(3)ベンチャー企業の倒産、合併、上場のオンラインモニタリングについて考察した。 -
高頻度金融時系列データを用いたデュアレーションモデルの統計的推測
2005年4月 - 2006年3月
科学研究費補助金 基盤研究(C)
代表者:永井 圭二
資金種別:競争的資金
高頻度金融時系列データを用いた分析としては、京都大学経済研究所の西山慶彦教授との共同研究"Nonparalnetric Estimation of Multivariate Integrated Volatilities"おいて、非同期的に観測される拡散過程についての多次元のボラティリティの推定方法について、Malliavin-Mancinoの推定量およびHayashi-Yoshidaの推定量を、理論、シミュレーション、および実証の側面から考察し、後者が優れていることを示している。そこでは、実証研究として国債先物ティックデータをもちいた共分散の推定を行っている。
横浜国立大学大学院生宋明子氏との共同研究"Nonparametric Estimation for the High Frequency Observations of Multivariate Ito Processes"では、伊藤過程に対して、高頻度データすべてを用いることができる局所時間を用いたノンパラメトリックな推定方法を提案している。モデルは、二次元の伊藤型拡散過程を考え、二つのブラウン運動に確率的な非線形相関を仮定している。局所時間を用いたノンパラメトリックな方法を考察し、ボラティリティと二つのブラウン運動の間の非線形な相関係数を推定している。本論文は宋明子氏の博士論文の一部として横浜国立大学国際社会科学研究科に提出され3月に博士号を授与されている。"Nonlinear renewal theorems for random walks with perturbatiqns of intermediate order,"(with Cun-Hui Zhang)では、統計的逐次解析の理論で重要となる摂動項を持つランダムウォークに対する非線形更新定理を証明し、セミパラメトリックおよびノンパラメトリックな逐次確率比検定に応用している。
18年度統計関連連合大会では京都大学経済研究所の西山慶彦教授および京都繊維工芸大の人見助教授との共同研究"Sequential unit root test"を韓国統計学会との共同セッションにおいて英語で報告された(招待講演)。その論文では単位根検定を逐次検定の方法で行うという新しい手法を提案し理論的考察を行っている。 -
多変量セミパラメトリック生存時間分析のパネルデータへの応用
2001年4月 - 2002年3月
科学研究費補助金 若手研究(B)
代表者:永井 圭二
資金種別:競争的資金
セミパラパラメトリックな生存時間分析の統計的解析方法の理論的考察を行い、経済パネルデータへの適用可能性を探った。本年度考察の対象としたのは経済活動において様々な形で観測されるDuration過程に対する統計的逐次解析の手法とセミパラメトリック検定の融合的適用の問題である。想定した経済現象は債券先物取引および債券オプション取引の取引時間間隔で、それをDurationとみなし価格プロセスとの関連での同時推測するモデリングが考察の対象になった。特に考慮の対象になったのは利子率の期間構造またはイールドカーブの変化に対して、Duration過程のパラメータの変更が行われるかどうかの検定であったが、通常の債券価格過程で用いられる拡散過程もしくはそれらの弱極限としてのGARCHモデルとの同時推定の問題がきわめて困難な問題であることを認識するに至った。第一の問題は強度関数などの無限次元パラメータを無裁定条件などの経済学的な根拠をあたえて拡散過程またはGARCHモデルと結びつけることが統計的推測の範疇を越えているという点にあった。ひとつの解決の方法としては価格過程の値を所与としてマルコフタイプの強度関数を想定し、そのパラメータ関数を推定するというやり方が考えられる。これについては試論的結論を得たが、考慮の余地が多いことを認識した。また第二の問題は流動性の問題で、季節的な要因、本源証券の発行時期の資金需給および発行量の関係、指標銘柄の問題など、利子率の期間構造モデルを越えた流動性プレミアムの問題をどのように取り扱うかという問題であった。この問題はDurationのプロセスに直接的に影響を与えるため、マイクロデータのDurationを取り扱う問題では経済学的考察を経たモデリングを構築する必要がある。
また、Durationに対するセミパラメトリックモデルの統計的解析の基本的手法となるU統計量の漸近的性質を調べるためのDecouplingの方法について論文を公表した。